〈コリをコリコリしてはいけません〉
筋肉に弾力が失われ、固くなり、触るとコリコリした感触になる。よく“コリ”と言われるやつです。
このコリを取りたい、どうにかしたい。そんな時それを指やこぶしでコリコリと揉んだりこすったり、場合によっては肘や棒などをつかってゴリゴリと悲鳴を上げたくなるほど強く押しずらす。
ちまたの整体院や整骨院、オイルマッサージやリンパマッサージから温泉のマッサージ、理容室のマッサージサービスにいたるまで、この療法が採られているのではないでしょうか。
逆に、「これ以外の方法ってあるの?」と思ってしまうほど。
ちなみに、シモザワ整体では、コリをコリコリして取るという方法は使っておりません。
何故なら……の、理論に元づいた説明を聞く前に、私の行った実験についてお話しします。よろしければ、皆さんも同じ実験を行って見てください。
まず、何かあってもリスクの少ない“足の裏”を触り、コリを探します。
コリを見つけたら、そのコリが柔らかくなり無くなるまで、コリコリ・コリコリ。
指が疲れてきたら、棒などを使ってコリコリ・コリコリ・コリコリ・コリコリ。
コリコリ・コリコリ・コリコリと、やりすぎでコリコリしている所が痛くなっても、私の場合はコリが無くなる事はありませんでした。
そう、コリをコリコリしても、コリが無くならなかったのです。
そして次の日、恐ろしい事が起こったのです。
昨日コリコリした所が、立っているだけで痛むではありませんか。しかも触ってみたら、昨日よりコリが固くなっている。一般的には“もみかえし”と言われるのかもしれませんが、これって…負傷? 怪我? としか私には思えませんでした。
もしここで、コリが無くならないにしても、小さくなっているのなら良い方に転換しているのですから“もみかえし”でも良いかも知れませんが、コリがより固くなるのなら、“やらない方がよかった”という事になるではありませんか。
なんて事でしょう、痛い思いをして悪化させてしまったのです。
何故、私がこの様な実験を行ってみようと思ったのか。それには、苦い経験があったからなのでした。
それは、私がまだ下澤先生の所に来始めた頃。
先生から「他の治療院に行って、施術を受けてみて来なさい」と言われ、毎日違う治療院に施術を受けに行った時の事です。
その頃の私は、あまり体の調子がよろしくなく、首や肩には常に不快感や痛みを感じていました。施術を受けに行くには、丁度良い自覚症状も持っていたのです。
一日一軒、リンパマッサージや足裏リフレクソロジーなど、ジャンルも異なる治療院に行きましたが、体の方は日に日に調子が悪くなる一方。きわめつけは“もみほぐす”タイプの治療院に行った時の事です。
施術が終わり「どうですか?」と聞かれたので、正直に「まだ首と肩が痛いです」と答えた私。さらに首と肩を集中的にもみ、「今度はどうですか?」と聞かれたので、また正直に「さっきと変わりません」と答えた私に、さらに集中的に強くモミモミ。それでも不快感や痛みがなくならないので、「もういいです」と帰った私に、悲劇がおこりました。
施術が終わってから1時間ほど経過した頃でしょうか。肩と首に強烈な倦怠感がおそい、首を保っていられない、ようは“首がすわっていない”状態になってしまったのです。
頭が支えられている状態でなければ、だまっているのも辛いのです。
さすがに辛すぎて下澤先生に泣きつき、先生に「バカだね(笑) これで解ったでしょ?もう他の所に受けに行かなくてもいいよ」と言われながら施術をしてもらい楽にはなりましたが、先生曰く根本的にもまれすぎたのが原因だという症状だけに、完全に良くなる事はなく、その日は終日寝たきりのような生活を送り、次の日には起き上れるようにはなりましたが、完全に良くなるには数日かかりました。
もし下澤先生の施術を受けていなかったら、次の日にも起き上る事が出来なかったかも知れないと思うほど、とても酷い状態でした。
この経験があったので、あのような実験をし、部位に足裏を選んだのです。
それでもあなたはコリコリされたいですか?
私はされたくありません。