〈コリ(緊張)は抜けるのです〉

 

バランスを取り合って凝っている(固く緊張している)筋肉。もちろん正確な操作をした場合に限りますが、「緊張を起こしている所とバランスをとっている部位」を操作することで、直接緊張を起こしている部位(コリのある所)を操作しなくても、そこにある緊張を抜くことができます。

小さな範囲や筋状に際立って固くなっている筋肉も解けるように緩んでいったり、胸などはあばら骨ごと盛り上って固くなっていて動きが小さくなっている場合でも「プシュー」と風船やタイやから空気が抜けるようにあばら骨ごと盛り上がった部分が沈み、動きが出てきたりします。

この「抜けた」時の感覚は、よほど感覚が鈍い人でなければ、手技療法師でなくても手に感じられると思います。観察力の鋭い人であれば、見た目でも解るほど一気に変化したりします。

下澤先生は、施術中に緊張の箇所を触っているように、と指示することがあります。初めの頃は、先生が何をしているのか、いったい先生の施術によって何が起きているのか全く解らず、ただ自分の手に伝わってくる「筋肉が緩んでいく感覚」に驚き、まるで魔法のようだと感動したものです。

クライアントのつきそいで来られていた方が、このことを感じられ、思わず声を出さずにはいられない程驚いていました。

 クライアント自身は、体に大きな変化が起こっても、初めのうちは抜ける感覚は感じ取れない方が多いですが、何度も通っているうちに、私たちが真剣に取り組んでいるあまり、つい声に出してしまう「よし抜けた!」という言葉に「私も今、抜けたの解りました!」と、自分自身で体の変化を感じ取れるようになり、「施術を受けるプロ」になってしまう方もいます。

こうなると、他の治療院やマッサージには恐ろしくてとても行けない、とその方達はおっしゃいます。

どうして? それは施術を受けて、自分の体が良くなっているのか悪くなっているのかが、感じ取れてしまうのですから!

結婚式を間近に控えた常連のクライアントが、パックに含まれているから、と仕方なく受けたブライダルエステで、自分の体がどんどん悪くなるのが解ったと話していた方がいました。「お願いだから触らないで!と思うけれど、エステティシャンが一生懸命やってくれるので、断れなくて辛かった」と…。

あちこちの治療院を巡り、シモザワ整体に辿り着いた方も、「この感覚は今まで感じた事のない気持ちよさがある」とおっしゃる方がいます。

もちろん私も体験したことがありますが、この「抜ける」感覚、解放感というか爽快感というか、何とも言えない気持ちよさ。そして体が楽になったのがハッキリ解ります。

 

ただ、ひと言で「バランス」といっても、一か所二か所の単純な問題である場合はかなり少ないのが現実です。コリの事情は複雑に入り組んでおり、問題発生の過程を読み取り、原因を解除して行かなくてはなりません。筋肉の緊張が緩んで「抜ける」、ここまでにたどり着くのも至難の業。私はかなり真剣に集中してやらないと、こううまくは行きません。

 下澤先生は、いとも簡単そうにやってしまいますけどね。